2022年度の新入社員たち6人に社内研修について振り返ってもらいました。
本年度の研修課題も、Raspberry PiとNode-REDを使った「世の中に必要なもの」です。
研修テーマ
テーマは下記の3グループに分かれました。
本コラムでは、植物関連の課題解決をテーマにした、6人の内2名の研修内容を紹介します。
誰でも「ベテラン農家」に! ~田野倉~
こんにちは。田野倉と申します。
私は農学部出身で、実際に農家で畑作業をする機会が何度かありました。
そこでは収穫の可不可の判断等、ベテラン農家にしかできない業務がある、いわゆる「業務の属人化」により、作業がなかなか進まないということが度々ありました。
そこで、農業における「業務の属人化」解消の足がかりとして、私は作物の熟度を判定できる装置を作りました。
提案・開発内容紹介
コンセプト:誰でも「ベテラン農家」に!
本来は全ての作物で熟度の判定ができることが望ましいのですが、今回は時間とデータの都合上、トマトの判定のみとしています。
熟度の判定にはTeachable Machineという機械学習用WEBサービスを使用しました。
また、判定結果の音声化にはVOICEVOXというテキスト読み上げソフトウェアを使用しました。
実際の装置の動作オペレーションは以下の通りです。
- Raspberry Piに接続した距離センサの動作範囲である5cm以内に対象作物(今回はトマト)を近づけ、カメラモジュールを起動する。
- Raspberry Piに接続したカメラモジュールで対象作物を撮影する。
- 撮影データをもとにTeachable Machineで判定処理を行う。
- Teachable Machineの判定結果として受け取ったメッセージの音声化処理をVOICEVOXで行う。
- VOICEVOXで生成された音声ファイルをUSBスピーカーで出力(再生)する。
また、音声が聞き取れなかった等の場合に確認できるよう、Node-REDのダッシュボード上で出力メッセージ内容を表示しています。
振り返ってみて
肝心の判定を外部サイトのTeachable Machineに頼ってしまっていたことやRaspberry Piの処理能力が十分でないこともあり、処理に時間がかかるのが難点です。
また、実装にあたって、先輩や同期社員に頼ることも多かったため、今後は自分1人でもある程度は解決できるようにしたいと思います。
サボテンの水やり自動化 ~R.M~
こんにちは。R.Mです。
私は植物を枯らせてしまった自身の経験から、
Raspberry Piを使った水やりの自動化を提案しました。
開発概要
植物を枯らせてしまう原因には、下記が挙げられます。
- 水をやりすぎてしまう
- 水やりを忘れてしまう
これらを解決し、誰もが手軽に植物を育てられるような装置を考えました。
土壌水分センサーと電動ポンプを用いて以下の機能を実装をしました。
- 土に挿したセンサーが水分量を計測
- 乾燥を検知したら自動で水やりを実施
- 水やり実施後に完了または失敗をslackに通知
- 計測した水分量をcsvファイルに記録
- csvファイルに記録したデータをグラフに表示
土壌水分量の推移は以下のようにダッシュボードに表示されます。
また、想定より早く実装できたため、以下の機能を追加しました。
- slackから水やり実施を指示
- slackから水分量計測を指示
- 特定の単語に反応してslackに自動返信が返ってくる
振り返ってみて
全体を通して、大きな進捗遅れが発生することはありませんでした。
提案時に思い描いていた以上の実装を盛り込むことが出来たので、嬉しく思います。
開発作業は、何事も順調に進んだわけではありません。
Node-REDで使用を想定していたノードでは上手くセンサーの値を得ることが出来ず、作業が難航したことがありました。
想像以上に難しい作業だったため、参考事例のあったPythonを用いて対処することになりました。
また、csvファイルに記録したデータをグラフに出力しようとした際には、期待通りの表示にならず苦戦しました。
こちらは良い方策が見つからなかったため、y軸の表示範囲について妥協する結果となりました。
また、自身での解決が難しいことが発生した時には、周囲の力も借りて対処しました。
類似した作業をしている同期に質問したり、先輩方にアドバイスをいただきながら約2週間取り組みました。
同期や先輩方の力をお借りしながらではありますが、一つの装置を完成させることが出来たことは、とても大きな学びになったと感じています。
社内研修で得たものを今後の業務でも活かしながら精進していきたいと思います。